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元司書長が幻想入り 第四話

住めば都。

・・・・・って言葉があった気がします。
「・・・・・それで、結局あなたは何が言いたいのかしら?」

・・・・・?

「いったろう?この異変はヤバいって」

・・・・・女の・・・ひと・・・・?

「何がヤバい、のかしら?最終的に死神のあなたが全部幽霊を回収して終わり、でしょ?」
「あぁ、そうさね」

あれは確か・・・・八雲紫・・・さん・・・・?と、あと一人・・・・・

「確かにあたいが幽霊達を彼岸に連れてったら異変は勝手に終わる」
「それのどこがヤバいのよ?」

誰だろう・・・?綺麗な赤髪に・・・・・鎌・・・・?

「っていうか・・・・なんでアンタが気づかないのかが、あたいにゃあ分からんね」
「もったいぶらずに早く言いなさい」

・・・・・これは・・・夢なのかな・・・?

「結界の緩みが60年前に比べておかしくないかい?」
「・・・・・なんですって?」
「60年前のと比べて、今回のは幽霊の数は変わらなかった。だけど・・・・」
「だけど?」
「明らかに別の幽霊が混じってる」
「は?」

・・・・・結界・・・・?60年前・・・・?

「・・・・要するに・・・・60年前は同じ時期に多くの幽霊が死んで、それと同時に結界の緩みが生じて幻想郷に幽霊が大量にわいた。だけども今回は60年前ほど大量に同時期に幽霊は死んじゃいないのさ」
「それは可笑しいわね。今回も60年前と変わらず大量の幽霊が幻想郷にあふれたじゃない」
「だからさ、その幽霊がおかしいんだよ」
「・・・・・?」
「時代、場所、年齢・・・・・さらには別の世界までもが、ごっちゃになってんだよ」
「・・・・・つまり?」
「どこか別の世界で大量に生き物が死んだ、これには変わりないさね。だけども、あきらかに60年前に比べて同時期に死んだ数が少ないのさ」
「・・・・・・今回は結界の緩みを脅かすほどは同時期に死んではいない、と?」
「あぁ、そうさ。だが結果としていろんなところから幽霊が幻想郷にやってきた」
「確かに結界が緩くなれば、いろんな世界から幽霊がやってきてもおかしくはないわ」
「・・・・・・60年前と同じ結界の緩みなら、今回ぐらいのなら耐えてる」
「・・・・・・・」
「さすがにわかったろう?」














「―――――――幻想郷の結界の緩みが、大きくなっている」























「―――――っ!」

がばっ

「・・・・・・・・・・?」

赤髪の大きな鎌を持った女性の言葉を最後に、ユーノは反射的に目が覚めた。

「・・・・夢・・・・・?」

先ほどの二人の女の人の会話が、ユーノの頭の中に鮮明に思い出される。

「おはようございます」
「!?」

ユーノが痛む頭を押さえていると、ふいに後ろから女の子の声が聞こえた。

「・・・・・え・・・えっと・・・・・」
「・・・・・・え・・・・・?・・・・・・・!あぁ、そうだ・・・・・」

驚いて振り向いたユーノに、逆に驚いた妖夢を見て、ようやくユーノは今の自分の状況を把握する。

「・・・・・おはようございます、妖夢さん」
「!あ、はい・・・・・」

笑顔で言うユーノに、ほっと胸をなでおろす妖夢。




結局、行く当てもなく、ましてや自分が今どういった状況にいるのかがさっぱりなユーノは、幽々子のお言葉に甘えて『白玉桜(はくぎょくろう)』と呼ばれる、なのはの世界で見た日本屋敷に似たこの屋敷に止めさせてもらうことになっていた。

「・・・・・・お目覚めのところ申し訳ありませんが、準備ができ次第、昨日の部屋に来てもらってもよろしいでしょうか?」
「え?・・・・・あぁ、うん・・・・・・昨日の部屋、ってのは幽々子さんとお話しした場所でいいのかな?」
「はい。・・・・・場所が鮮明でないないのならばご案内いたしますが・・・・」
「それは大丈夫。昨日大体の場所は教えてもらったし」
「はあ・・・・・あの説明だけで・・・・・」

とてつもなく大きな屋敷なのに、昨日おおざっぱに説明しただけで本当に覚えているのだろうかと、妖夢は目の前の少年を見て思う。

「・・・悪いんだけど、顔を洗う場所ってあるかな?」
「それでしたら、この部屋の目の前に水場がございます」
「あ、じゃあ使わせてもらってもいいかな?」
「どうぞ、ご自由に」

そういい、ペコリと頭を下げ、妖夢は部屋から出て行った。

「・・・・・な~んかつかれるなあ」

自身の長い髪を後ろで結びながら、ユーノはそう呟いた。





















「・・・・・ここだよね・・・・」

寝ていた布団を綺麗にたたみ、言われたとおり昨日の部屋にやってきたユーノ。

「・・・・失礼します」

そう言い、自分の身長ほどある障子を慎重に開ける。

「あら、おはよう」
「・・・・あ、おはようございます」

ユーノが障子をあけて中をのぞくと、そこのは幽々子が昨日と同じ場所に座っており、その目の前には朝食と思われるご飯やおかずが、お膳の上にきれいに並べてあった。

「さあさあ、早く座って。・・・・私もうお腹すいて死んじゃいそうよ」
「・・・・・・幽々子様・・・・・・・・矛盾してます」

笑顔で冗談を言う幽々子と、呆れる妖夢。

「・・・・失礼します・・・・・」

こういった形の礼儀作法はユーノは知らないので、なるべく失礼のないように何度も頭を下げながら、座布団が敷いてある昨日座っていた位置に座る。

「さて!それじゃあ・・・・」
「・・・・」
「いっただっきま~~~~す」
「・・・い、いただきます」
「・・・・・幽々子様・・・・」

こうして、幽々子の掛け声とともに、白玉楼の朝食が始まった。









「・・・・どう?昨日は眠れた?」
「え?・・・・・あ、はい、おかげ様で。よく眠れました」

食事の最中、幽々子がユーノに尋ねる。

「それならよかったわ。幾分、急なものだから・・・・・こっちも何も用意できなくて心配したわ」
「い、いえ!止めさせてもらっただけでも本当にありがたいです」
「あらあら、ずいぶんと謙虚ねえ」
「幽々子様・・・・・口にモノを含んだまま喋らないでください・・・・」

部屋の入り口の障子で正座して座っている妖夢が、幽々子に注意する。

「大丈夫よ~、とばないから」
「そういう問題では・・・・・」
「いいの~!私が大丈夫っていたら大丈夫なの」
「・・・・はあ・・・・」

悪いと思いながらも、二人のやり取りを見て失笑するユーノ。

「・・・・・なんで笑うのかしら?」
「い、いえ・・・・すいません」
「笑われて当然です!」
「あら?」

まるではやてとリインを見ているようだなあと、ユーノは思った。























「・・・・・そういえば、あなた今何も持ってないわよねえ」

食事を終え、妖夢が入れてきたお茶を二人して飲んでいると、ふいに幽々子が言った。

「え?・・・・・まあ確かに・・・・・いきなりでしたから・・・・・」
「・・・・・それだとこれから先不便よねえ・・・・・あなた自身、無くてはならないものがありそうだし」
「・・・・あ~・・・・」

着替えの一つもないことを思い出したユーノは、幽々子の言葉に頷く。

「そうね・・・・・・妖夢?」
「なんでしょう?」
「ちょっとこの人を連れて行ってあげて」
「?どこにですか」
「ほら、前に言ってたじゃない。・・・・・あの・・・・・・・道具屋さん」
「!?」

幽々子の言葉に、今までにないほど驚いたような表情をする妖夢。

「・・・・・それは・・・・・人魂灯の件での・・・・・?」
「そうそう。あそこに行けば、何かしらあるでしょう?」
「・・・・・・ですが・・・・」
「?ひょっとして妖夢・・・・・行きたくないの?」

幽々子の言葉に、

「・・・・・あの人・・・・苦手なんです」

憂鬱そうに答える妖夢。

「なら大丈夫ね。今日は幻想郷の観光ついでに行ってくるといいわ」
「はあ・・・・・」

嫌そうな顔をする妖夢を無視するかのように、幽々子はユーノに言う。

「・・・・・いいの?」
「・・・・・嫌ですけど・・・・・幽々子様が行けって言うからには仕方ありません・・・・」

呑気そうにお茶をすする幽々子を横目に、妖夢は重い足取りでユーノを連れて部屋を出て行った。




「晩御飯までには帰ってきてね~」
「・・・善処します」









「・・・・ところで・・・・・」
「?」

白玉楼の庭に出たところで、妖夢がユーノに尋ねる。

「失礼ですが・・・・ユーノさんは・・・・その・・・・・」
「・・・・・何?」
「空を飛ぶことは・・・・可能でしょうか?」
「へ?空?」

妖夢の意外な質問に、ユーノは思わず聞き返す。

「いえ、あの・・・・その・・・・・」
「・・・まあ、一応飛べるけど・・・・」
「!そうですか・・・・なら安心です」
「ひょっとして・・・・・この世界の人は皆飛べるの?」
「いえ、人はほとんどが飛ぶことができません。・・・・・まあ何人かは飛んでますが」
「・・・・・?まあいいや」

妖夢の言っていることがよく分からないユーノだったが、難しそうだったのでとりあえず納得しておくことにした。



「・・・・あと、少しいいかな?」
「なんでしょう?この半霊のことでしょうか?」

そういい、自身の周りを浮いている白い雲のような物体を指さして妖夢は言う。

「・・・・それも気になるけど・・・・なんていうかその・・・」
「?」
「もうちょっと砕けてしゃべってくれないかな?」
「・・・・・それは、もう少し楽に喋れ、とのことでしょうか?」
「え!?まあ・・・うん・・・・・その方が僕としても助かるし・・・・それに・・・・」
「?」
「妖夢さんみたいな子には似合わないかなあ・・・・って・・・・・」
「・・・・・・・」

ユーノの言葉に、思わずきょとんとする妖夢。

「って今の失礼だよね!?ご、ごめ」
「ふふっ」
「!」

あわてるユーノを見て、妖夢は微笑む。

「確かに、失礼かもしれませんね」
「・・・・ごめんなさい」
「大丈夫です。怒ってませんから」
「・・・・・で、でも」
「ふう。・・・・意外と気が小さいんですね」
「・・・へ?」

そういい、妖夢は地面をけって空へと舞う。

「正直、私もあの喋り方苦手だったんです」
「え?」
「・・・・いきますよ、ユーノさん」
「・・・・うん、今日は案内お願いします」
「はい!」

笑顔でそういう妖夢の後を、ユーノは追いかけていくのだった。













こうして、ユーノの初めての幻想郷の一日が始まった――――――。















~続く
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